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うっかりさんの力強い味方となるAir Tag
忘れ物機能がスマホに搭載
「ちょっとそこまで」と外出する際に、雨が降ってきた。所用を済ませ、ホッとしてから気づく「あっ!傘忘れてきた!」、うっかりさんならこんな忘れ物の経験、記憶にあることでしょう。どこで忘れたのか、覚えていればいいけれど。
こうした忘れ物は大抵の場合、記憶から消えてしまっているからこそ忘れるのですから、そもそもどこに置き忘れたのか、そんなことすら覚えていない場合も多いもの。
また、自宅にあるのは間違いないのにどこに置いたのか思い出せない。昨日の夜、新聞を見るのに使った眼鏡が、覚えのある場所を見ても見当たらない。妖精さんがいたずらしたのかしら?こんな置き忘れも経験ありませんか。さらに、飲み過ぎて帰ってきたら財布がない。タクシーを降りたときには持っていたはずなのに。こうした思い出せない忘れ物の経験もありましょう。
そんな焦った経験をお持ちの方もこれからはもう安心なのです。多くのうっかりさんに、力強い味方となる忘れ物を探してくれる機能であるAir Tagが、2021年4月30日、アップルから発売されました。
アップル独自の新機能
Air Tagは、iPhoneやiPadと通信できる小さな端末で、アップル独自の新機能を搭載しています。iPhoneの探す機能を活用し、どこにあるのか、その場所と方向を数センチ単位から表示してくれます。
ですから例えば、Air Tagをお財布に入れておくとしましょう。自宅で財布の置き場所が分からなくなったとき、iPhoneの「探す」機能を活用することで、どこにあるか調べることができ、自分で苦労しなくても、どこに財布があるかをiPhoneが教えてくれるというわけです。
ただし、この機能は、iPhone11からiPhone 12 miniまでの機種に対応しているもののため、それ以外の機種をお持ちの方には使えないもの。
つまりiPhone専用の便利機能というわけなのです。
Air Tagはどんな構造なの?
Bluetoothとは違う?
このAir Tagは特殊な通信機能によって探すことができるものです。例えばスマートフォンやパソコン、プリンター類を無線通信するという場合はBluetooth機能を利用するというのが一般的です。しかしこのAir TagはBluetooth機能だけではありません。iPhoneのUWBという通信機能を使っています。
UWBとは、Ultra Wide Band。つまり超広域無線システムということですが、広い帯域にも届く無線システムで、イメージでいうとBluetoothよりも広くて詳細が見えるといった無線システムです。大変詳細な情報も、また広い範囲も、隈なく判断できる無線システムを使っており、それは自宅から数キロ離れている場合でも、地図で表示することができます。
うっかり見失った場合から、前日の夜に無くしてしまったものまで、全てAir Tagが探してくれるという、頼りがいのある機能なのです。
Air Tag他社機種でも可能なのか
忘れ物を探す機能については、Bluetooth機能を使った忘れ物防止タグとして他社機種でも提供されているものがあります。しかしこのiPhoneのAir Tagは、UWB機能とBluetoothの2つの通信を活用するという方法で、遠いところから近いところまで、幅広い範囲に対応可能です。
ここが他社機種との違いでもあります。
様々な能力を持っているため、近いところなら数センチ単位で、そして数メートル先も的確に探すことが出来る利点があります。しかも、かなり近いという場合は振動で知らせてくれるので、無くしたものに近づいている表示をする安心機能も搭載されているのです。
でもどうしてアップルだけなのでしょうか?
そもそもAir Tagの探す機能というのは、アップル製品のユーザー登録とそれに紐づけされたアップルIDがどこにあるかを探すために考案されたものなのです。どこでその通信が最後に行われたのか、その記録を活用することで、ユーザーの検索により、最後の記録場所を特定することができるという構造となっています。
この詳細な探索機能は、複雑なネットワーク構造を活用しています。
単に紐付けされた機種とIDだけではなく、他人のiPhoneの接続を活用し、世界中のiPhoneの通信を網の目のように使って検索するシステムです。あくまで活用するのは通信であり、個人の情報は含まれていませんから、情報流失というおそれはありません。
世界中に流れる通信を使って探索しているということですから、例えば、海外での忘れ物でさえ、その場所を特定することも可能というわけなのです。この構造は「メッシュネットワーク」と呼ばれていますが、Air Tagはこの構造を活用しています。
Air Tagの充電時間やバッテリー時間は?
Air Tagバッテリーとして使われているもの
海外の忘れ物まで検索可能なAir Tagですが、それほど性能の高いものなら、バッテリーもすぐに切れてしまうのでは?そんな心配も生じてしまいます。
しかし安心なのがそのバッテリー構造です。Air Tagはボタン電池をバッテリーとしています。そのため、ボタン電池の消費期限が来るまでずっと使えるのです。しかも、省エネ構造でもあるため、ずっと使い続けても1年以上使用可能です。
もちろん充電することもなし。つまり充電に係る時間はゼロで、バッテリーを交換後は1年以上使えるというわけなのです。
このAir Tagのバッテリーとして使われるボタン電池ですが、CR2032というコンビニエンスストアでも、購入できる馴染みのあるボタン電池。つまり、外出先でもすぐに交換可能なので、出先で充電が切れそうというときも心配ないのです。
Air Tag交換可能なバッテリーだから
Air Tagは交換可能なボタン電池CR2032を使っています。しかもバッテリーが切れそうになると警告音で知らせてくれる構造にもなっています。こうしてバッテリー交換がしやすいということは、充電切れを防ぐということ以外にも利点があるのです。
例えば、ご紹介したようにAir Tagはメッシュネットワークという構造を使い、遠くに離れていても場所を特定する機能をもっています。
この機能を悪用し、ストーカーや尾行といった手段にAir Tagが使われてしまうおそれもありますが、自分の身の周りにそんなAir Tagがあった際には、そのバッテリーを抜いてしまえば良いのです。自分のアップルIDに紐付けされていない、不審なAir Tagを見つけても、ためらうことなくバッテリーを抜いてしまえば、場所を特定される不安も無くなり、不審な相手に自分の所在を知られる危険も無くなります。
Air Tagまとめ
アップルから4月30日に発売されたAir Tagですが、性能の高さは魅力であるものの、金額は1つ3,800円と決して安いものではありません。しかも、サイズもボタン電池をバッテリーとしている分、どうしても大きくなりがちです。
ボタン型のデザインであるAir Tagを収納するアクセサリーも発売されているものの、収納するという面では、ややコンパクトさに欠けるという評価もちらほら浮上しているところでもあります。とはいえ、従来のBluetooth機能を使った忘れ物防止タグとは違い、世界中にネットワークを張り巡らせることが出来るというグローバルな能力と、数センチ単位まで調べられる性能の高さは魅力的。
iPhoneでしか試せないものではありますが、自ら自負する「うっかりさん」は、ぜひ一度試してみる価値がありそうです。
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