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週休2日制から週休3日制に?
週休2日制はいつから導入された
今では一般的となった週休2日制ですが、かつては週のお休みといえば学校はもちろん会社も、特別な場合を除いて、休業日といえば日曜日のみの週休1日制が一般的でした。
それが変わったのが、1992年のこと。
当時は高度経済成長期の中にあった日本ですが、その一方「働きすぎ日本人」と言われるなど、海外の学校や会社に比べて、日本では余暇の時間が少ないということが危惧されており、学校も詰込み型教育で、子供たちが勉強そのものを楽しめず学力低下の危険性も浮上していたなど、休みの少ない環境は人間教育を悪化させているとまで言われたことがあります。
そんななか政府は学校教育に変化を与えようと、1992年9月から公立小中学校、高等学校において、毎月第2土曜日を休業日へと変えた毎月1回の週休2日制を導入します。
またゆくゆく完全週休2日制が計画されており、その影響からか学校教育では、第2土曜日以外の土曜日でも比較的情操教育に特化したカリキュラムが導入されるなど、従来の教育方針は大きく変化、そして2002年4月から施行された完全週休2日制によって、土曜、日曜日が当たり前のように休みとなっている学校は、今では多く存在しています。
ただし、これはあくまでも公立学校でのお話。
学校教育法施行規則という法律により、私立学校では学校サイドでの判断で休業日を設定することが出来ると決められているため、今でも私立の中には、土曜日にも授業が行われているところもあります。
なぜ週休3日制が話題になっているのか
2021年春、今度は週休2日制を超え、1日休業日が増えた週休3日制が話題となっているのです。
その週休3日制が浮上した理由には様々あるのですが、1つは労働環境の自由化、また個々の生活リズムの変化、加えて2020年に大流行したコロナウイルス感染症の影響もあるのだとか。
週休3日制が提唱される背景には、皆が同じ時間帯に満員電車に詰め込まれ、同じ労働時間に拘束されるという環境への疑問視のほかに、共働き環境の子育てや育児休暇への配慮など、これまでの働き方への疑問というところから浮上しているようです。
またコロナウイルス感染症の影響をうけ、多くの企業が、今まで通りに社員を出勤させられない環境が続いたことも影響しています。
従業員は今まで通りに働ける環境が減ってしまったうえに、企業としての活動も縮小するなど、社会は従来通りの活動ができず、売り上げも落ち込んでいくため、副業を認めるざるを得ない企業も増えており、結果として週休3日制の導入を決定した企業も多く存在しはじめたのです。
週休3日制になると何曜日が休みになるのか
週休2日制で浮上した曜日
1992年から実施された週休2日制ですが、今では当たり前のように土曜日と日曜日が休みとされていますが、そもそもどうして連続して土曜日、日曜日と連続した休業日となったのでしょう。
その理由は、いくつかあるのですが、もっとも多く言われているのが「働きすぎ」の環境を大きく変化させるため、敢えて2日連続させたというものです。
日曜日は旧来より休業日であったため、この日曜日を基準にして、月、火、水、木、金、土曜日のうち、真ん中の水曜日を休業日にしようという話も浮上したのですが、日曜日と水曜日では途切れ途切れになってしまい、1日だけの休業日となれば、旅行を計画する、どこかに出かけるということを考えると満足に休めないという不満も生じます。
こうしたことから、休業日が2日連続が妥当とされ、土曜日、日曜日が休業日というのが一般的になったと言われています。
週休3日制になった場合には
では週休3日制が導入された場合に、土曜日、日曜日以外の何曜日が休業日となるのか、これに関しては、明確な曜日というのが提案されていないのです。
というのも、週休3日制というのは、働き方改革の一環としても浮上した案であり、それぞれの働き方があるように、それぞれの休み方で提案された考え方の週休3日制は、その休業日は自分で選べるといったものとなっているようです。
今、大手企業でも2021年6月以降から、希望する社員には週休3日制を適用するという動きが活発化しているのですが、そこでも休業日は対象職員の希望日となり、自分の好きな日に休んだり働いたりと、自分基準で仕事をすることができるのだとか。
ただし、週休3日制になれば休業日が増えるわけですから、その分の給与は減額となり、それを了承した人だけが、希望者として週休3日制の制度を利用できるということになるそうです。
週休3日制となると授業時間はどうなる
授業時間は変更可能なのか
大人の社会で進められつつある週休3日制ですが、学校という環境では、それを導入することは可能なのでしょうか。
学校は、勉学を学ぶ学生のほか教員として働く社会人も多く存在するなど、大人と子供が混在する社会であるため、大人の社会の変化を簡単に導入できない事情があるほか、子供たちには、学習指導要領によって学校での教育課程で定められた時間が決められ、それを減らすことはできません。
例えば小学校高学年の子供たちには、週29時間の授業が定められており、カリキュラムはこの指導要領に則っているため、学校側が破ることは許されません。
学習指導要領は、かつて行われていた「ゆとり教育」を教訓にして、日本の学力をまた向上させ、子供たちが学ぶ楽しさを理解できるよう考えられて制定されているなど、今のカリキュラムは、週休2日制の環境でギリギリの時間配分です。
これを週休3日制に変化させるとなると、決められたカリキュラムを少ない時間で消化すること難しく、現時点では週休3日制に沿うような授業時間の変更はできない状況にあります。
学校のシステムが変わる?
そうなると週休3日制を学校に導入することはできないという結論に至ってしまいますが、ここでもその結論を受け入れられない現実もあるのです。
学習指導要領を変更させれば、子供たちの学力の平均が多く変化するおそれがあるなど、簡単ではないうえに、法改正となれば審議という面でも多くの時間が必要なのですが、こうした事情以上に、厳しい職場環境が問題視されている教員への休業日の推奨は切迫した現実の問題となっています。
休みが少ない、それに加えて負担率も多いなど、心身ともに過酷な職場環境にある教員は、身体や心を壊す人も少なくなく、公私の区別が付けづらい環境に身を置く機会も多いため、魅力的な職業と言われなくなってもいます。
このため、私立学校などでは教員の働く環境を変化させる努力をしているところも。
例えば海外の学校教育の手法を取り入れて、クラス制を導入せず、複数の先生で授業を共有したり、単位制を導入して授業を進めるなど、生徒に自主的に授業への参加を促す制度に変化させている学校も増えつつあります。
今は少ないのですが、こうした学校を取り巻く環境の変化が増えていることは、今後、その検証結果によれば、多くの学校で学校システムそのものの変化へと移行する可能性もありそうです。
まとめ
週休3日制は今、働く環境で進められている休業制度ですが、休業日が増えるということは、その分、給与面での減額も起こりうることで、週休3日制を希望する場合はしっかりと検討する必要は生じます。
しかし、給与は削れても、学びのフィールドは削れるものではなく、ましてや今、学びを必要とする学生達にとって、その環境を削るのは問題も多く生じるものです。
教員の働き方、そして学生の学びの環境、この両立と週休3日制を上手に生かすこと、それは、これからの社会に大きな光を灯すことともなりえましょう。
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